対流圏成層圏中間圏大気大循環モデルの
1月固定長時間積分にみられる内部変動の更なる解析

余田 成男
(ワシントン大学 大気海洋共同研究所)
内藤 陽子
(京都大学大学院 理学研究科 地球惑星科学専攻 地球物理学教室)
スティーブン ポウソン
(ベルリン自由大学 気象学科)

ベルリン対流圏成層圏中間圏大気大循環モデルの1月固定長時間積分データセッ トの1000日分を更に詳細に解析した.目的は,この複雑な非線型システム の内部変動の実態を明らかにし,現実大気に於ける季節内変動と年々変動に対 してそのような内部変動過程がどのような役割を担っているかを明らかにする ことである.

解析した1000日間に7回の成層圏突然昇温現象が起こっているが,明瞭な 周期性はない.帯状平均東西風[U]のパワースペクトルはレッドノイズに近 い.成層圏極域における[U]や帯状平均温度[T]の分布関数は正規分布か らかけ離れたものとなっている.

成層圏極域における[U]と波数1のジオポテンシャル高度振幅Z1をもとに, 1000日間のデータを次の3つのカテゴリーに分けて,コンポジット解析を 行なった;(C):[U]が大,Z1が小,(M):[U],Z1ともに中間, (W):[U]が小,Z1が大.それぞれのカテゴリーは異なる持続性を示し, カテゴリー(C)は他よりも持続する.

[U],[T],Z1の子午面断面図のコンポジットは,中層大気中では, (C)と(W)が両極端の様相をしめす.カテゴリー(W)では,極域の温度 が成層圏では1000日平均よりも相当に高く,一方,中間圏では低い.これ は,突然昇温現象に共通する特徴である.エリアッセン・パーム(EP)フラッ クスなどの惑星波の諸量と変換したオイラー平均子午面循環のコンポジットは, 「波強制の非局所的効果」が極域下部成層圏でおおきく変動していることを示 している.カテゴリー(W)では,EPフラックスの収束が大きく,下降流が 強くなっている.また,対流圏の波の場のコンポジットは,対流圏と成層圏の 力学的結合の様相を示している.カテゴリー(W)では,傾圧波活動がやや弱 くなり,惑星波は高緯度で波列パターンを示す.


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YODEN Shigeo <yoden@kugi.kyoto-u.ac.jp>
Created: April 8, 1996