2012〜2016年度 科学研究費補助金 基盤研究(S)

成層圏-対流圏結合系における極端気象変動の現在・過去・未来


  研究計画・方法

研究体制

0) 研究代表者 余田 成男
1) データ解析班 田口 正和; 余田 成男 ,内藤 陽子,西本 絵梨子,William J. Randel,Karen Rosenlof,Matthew Hitchman
2) 大気循環力学モデル・統計理論班 石岡 圭一; 余田 成男 ,納多 哲史 ,Peter H. Haynes,Andrew Gettelman,Michael Ghil
3) 大気大循環モデル・数値予報モデル班 向川 均; 榎本 剛,廣岡 俊彦,小寺 邦彦,Tim Palmer,Peter Hitchcock
4) 気候モデル班 水田 亮; 鬼頭 昭雄,吉田 康平,納多 哲史,Theodore G. Shepherd,Seok-Woo Son


研究課題


データ解析、数値モデル実験、理論の研究手段を有機的に連携させて総合的な研究を推進する。 数値モデル実験では、各自が開発してきた理想化簡略化した概念モデルから、全球3次元の大気循環力学モデル (MCM: Mechanistic Circulation Model)、大気大循環モデル(GCM: General Circulation Model)、気候-化学 結合モデル(CCM: Climate-Chemistry coupled Model)まで、あらゆる階層の数値モデルと時間積分結果データを 活用して本研究を推進する。 多重の時間空間スケールで変動・変化する成層圏-対流圏結合系において、複雑に関連しあって生起する極端気象の 現象記述、メカニズム理解、およびモデル予測と影響評価を研究の柱として、それぞれの階層間の連結力学過程に 焦点をあてて総合的な研究展開をする。4つの研究班を構成し、現在・過去・未来にわたる3つの包括的研究課題 を推進する。
  • 過去気候: 地質学的過去での極端気象変動の記述
  • 現在気候: 成層圏-対流圏結合系変動の実態把握、力学的特性の詳細調査と記述
  • 未来気候: 気候変化の極端気象形態・出現頻度への影響評価
  • 1) データ解析班      「現実大気を眺めつくす」

    余田が参画してきた成層圏気候トレンドに関する観測データ解析およびCCM比較実験の国際共同研究 成果(Randel, … and Yoden, 2009; Austin, … and Yoden, 2009;など)を直接的に発展させて、 多重の時間空間スケールで変動・変化する階層間連結力学過程のなかで各極端気象が出現する状況を 事例解析および統計解析により記述する。
  • 季節内変動を特徴づける極端気象: 成層圏突然昇温現象(SSW)、極域強化、ブロッキング現象
  • 季節進行: 地球公転に伴う太陽放射の一年周期変動に対する周期的応答
  • 年々変動: 季節進行からの自然変動偏差。QBO、ENSO、太陽活動変動、火山噴火影響
  • 気候変化: 人為起源による変化。成層圏寒冷化、ブリュワー・ドブソン循環の強化
  • 2) 大気循環力学モデル・統計理論班      「数値実験により新統計則を求める」

    余田とトロント大学共同研究者らで、カナダCCM保管データに基づいて中層大気の放射冷却近似に関する 研究を行い、MCMの加熱冷却項の改良方策を提案した(Hitchcock, Shepherd and Yoden, 2010)。 本研究ではこの改良を行ったMCMを駆使して系統的な数値実験を実施する。
  • 冬季極域SSWを介した下方影響・応答増幅メカニズムの探究(接線型感度解析)
  • 自然内部変動の確率密度関数を求め、気候変化をその分布関数の変化として認識
  • 極端気象現象に対応する確率密度関数先端部の特性を求めて、出現頻度変化を評価
  • 現象の理解を深めるためのパラメータスウィープ実験(地球流体力学的認識の獲得)
  • 3) 大気大循環モデル・数値予報モデル班      「アンサンブル予報のツボを探る」

    向川らが先駆的に行ってきた、気象庁1カ月アンサンブル予報保管データに基づく予測可能性変動研究 (Mukougawa et al., 2009; Takemura and Mukougawa, 2010;など)を踏まえ、GCMを駆使した擬似 予報実験を実施することにより、予測可能性変動の基本的特性を明らかにする。
  • 特定のSSW(一事例)が対流圏に及ぼす影響の大規模アンサンブル予測実験
  • GCMを用いた長期間アンサンブル擬似予報実験
  • 内部変動が顕著な系での外部強制変化(QBO、ENSO、太陽活動、寒冷化)の影響評価
  • アンサンブル実験に基づいた応用気象学的研究: 予測可能性変動解析、感度解析
  • 4) 気候モデル班      「古気候実験で気候モデルを鍛える」

    鬼頭が中心となり推進してきた気象研究所気候モデルを用いた古気候研究では、アジアモンスーン形成に 対するチベット高原の役割の解明(Kitoh, 2007など)など、先進的結果が得られてきた。本研究では、 古気候・古環境情報と古気候モデリングの融合を目指して、地球システムモデル開発と研究展開を図る。
  • 過去1000年間の気候再現アンサンブル実験
  • 最終氷期最盛期(2.1万年前)のタイムスライス気候再現アンサンブル実験
  • 完新世中期(6千年前;縄文海進期)のタイムスライス気候再現アンサンブル実験

  •       Maintained by Shigeo Yoden, Kyoto University (yoden"at"kugi.kyoto-u.ac.jp)